なんでも鑑定団で物議の国宝「曜変天目茶碗」がめっちゃ綺麗な件
あなたは「曜変天目(ようへんてんもく)」という言葉を聞いたことがありますか?
宋の時代(約800年前)の中国で制作された茶碗のことで、世界で3点しか現存せず、そのいずれもが日本にあります。いずれも徳川家や三菱財閥の本家など日本の超大御所のもとで所持されていた経歴があり、国宝として指定されています。
我々が普段イメージする茶碗とはまるで異なる、宇宙を思わせるような神秘的な輝きを放つ、非常に美しい独特なデザインが特徴です。
「もし取引されたら数十億円は下らない」という意見もあるほど、昔からとてつもない価値を誇る非常に貴重な作品です。
ちなみにこの曜変天目は、骨董品の鑑定価格を公開査定する番組「開運!なんでも鑑定団」で「曜変天目とされる茶碗」が出品され、本物と鑑定されたことでも話題を集めました(その真贋は今でも物議を醸しており、未確定です)。
今回はそんな曜変天目茶碗についてご紹介します。
まずは曜変天目の写真をどうぞ
現在正式に認められている3点の曜変天目は、いずれも異なるデザインを持っており、所蔵先も異なっています。 ※後述しますが、曜変天目のデザインは偶然に生まれた賜物で、あらかじめ陶芸家によって描かれたデザインでは無いと言われています。
稲葉天目
引用:https://intojapanwaraku.com/art/20180612/36865
3点ある曜変天目の中で最も代表的とされるものが、この「稲葉天目」と呼ばれる茶碗です。
まるで宇宙のような、深海のような、深い青色に七色に輝く斑点が無数に点在するこの見た目は、自然に出来上がったものだという気がしないほど独特で美しいです。
引用:https://yoi-art.at.webry.info/201604/article_1.html
この稲葉天目は、元々徳川将軍家が所有していたと言います。最高峰の茶器とされる曜変天目だけあり、やはり所有する人も将軍のように由緒正しい人でなければならないようです。
後には三菱財閥の岩崎小弥太がこの稲葉天目を購入したと言いますが、天下の名器だからと言って一度も使用することはなかったそうです。
なお、「稲葉」という名は、徳川家の後に藩主であった稲葉家に伝わったことによります。
現在は、岩崎小弥太らが創立した、東京都世田谷区にある「静嘉堂文庫」という美術館に所蔵されており、期間展示されています。
藤田美術館の曜変天目
引用:http://fujita-museum.or.jp/collections_post/151/
こちらは大阪市にある藤田美術館で所蔵されている曜変天目です。先程の稲葉天目と比べると全体的な青みが強く、宇宙というよりはより海に近いイメージになっています。
引用:引用:http://fujita-museum.or.jp/collections_post/151/
こちらの曜変天目は、徳川家康から水戸徳川家に譲られ、その後に明治時代の財閥であった藤田家に伝わったと言います。
残念ながら現在、藤田美術館は長期休館となっており、2021年度に再度オープンとなるようです。それまでにこちらの曜変天目を実際に見られるかどうかは分かりません。
大徳寺龍光院の曜変天目
3つ目は唯一美術館に所蔵されておらず、京都のお寺にて所蔵されている曜変天目です。
引用:http://korokoroblog.hatenablog.com/entry/2017/11/03/%E2%96%A0%E5%9B%BD%E5%AE%9D%E5%B1%95%EF%BC%9A%E5%A4%A7%E5%BE%B3%E5%AF%BA_%E6%9B%9C%E5%A4%89%E5%A4%A9%E7%9B%AE%E8%8C%B6%E7%A2%97%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%81%9F%EF%BC%81
この曜変天目は他の2つに比べて情報が少なく、また基本的に一般公開もなされていないため、「幻の曜変天目」とも言われるとか。
引用:http://korokoroblog.hatenablog.com/entry/2017/11/03/%E2%96%A0%E5%9B%BD%E5%AE%9D%E5%B1%95%EF%BC%9A%E5%A4%A7%E5%BE%B3%E5%AF%BA_%E6%9B%9C%E5%A4%89%E5%A4%A9%E7%9B%AE%E8%8C%B6%E7%A2%97%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%81%9F%EF%BC%81
一見して他の2つよりも色味や斑点が薄く地味な見た目ですが、実際にこの曜変天目を拝観した方のブログ記事(画像引用元)を拝見すると、これもまた非常に美しい輝きを持った茶碗だと言います。
今まで一般人へのお披露目の機会は3回しかなかったとか…。他の曜変天目も現在は常設展示が存在しないのですが、この龍光院のものは特に拝観できる機会が少ないですね。
これらの曜変天目は光の当たり方によってキラキラと輝きを変えるため、本当は動画もシェアしたいのですが、残念ながら美術館所蔵品というだけあって見つかりませんでした…。
NHKの面白いミュージックアニメがあったので、これでも観といてください(個人的にハマりました)▼
曜変天目はどうやって作られたか
こんなに美しい曜変天目ですが、実はまだどうやってこのデザインを再現できるのかは、完全には解明されていません。
茶碗を作る時には、ざっくり「粘土を器の形にする⇒器の表面をコーティングする釉薬(ゆうやく)を塗る⇒窯で焼く⇒完成」という流れを踏むのですが、この窯で焼く際の突然変異により曜変天目が出来たとされています。
ただ、この曜変天目を何とか再現しようと挑戦を続けている陶芸家の方々もおり、なんでも鑑定団に出された「4つ目の曜変天目」とされる茶碗が偽物であると断定し話題になった長江惣吉さんは、曜変天目の作り方について、蛍石という成分を焼く際に添加することで再現できると発言しています。
今後、曜変天目の作り方が解明されれば、似たデザインの陶器がどんどん登場してくることでしょう。それでも、本物の価値は変わらないでしょうが。
個人的には、利用用途が狭い茶碗だけじゃなく、世界中の人々が使いやすいお皿の形でこの曜変天目の美しいデザインを再現し、海外に向けて販売しても面白いんじゃないかと思います。。。
僕もまだ曜変天目の実物を見たことはありませんが、今後機会があれば、ぜひ一度見てみたいと思っています。普段美術館には行かないけど、これだけは観てみたい!
観られる確率が一番高いのは、おそらく静嘉堂文庫にある稲葉天目でしょうね。執筆時点では公開の予定はありませんが、また公開される際は事前に告知があるので、興味ある方はTwitterアカウントをフォローしておくことをオススメします。
1件のコメント
日本の有名な焼物ブランドトップ3をご紹介します | かなでや · 2018年12月20日 3:06 PM
[…] 有田は日本で初めて磁器が焼かれた地とされており、最初期は中国の景徳鎮(世界的な焼物の名産地。曜変天目もここで焼かれた)を参考に、白い磁器の生地に藍色の絵具で絵柄を付ける「染付」という手法が用いられていました。 […]